天井桟敷

食。映画。音楽。本。旅。そしてベタ。

2007-01-01から1年間の記事一覧

ブラック・ダリア

花形選手トム・クルーズを起用して儲けを出す。ミッションの任務を十二分に果たし、もう“B級映画の巨匠”とは呼ばせない。…勢いのデ・パルマ様だ。しかしメジャーに昇格してからというもの、なんとなく遠くへ行ってしまった感あり。つき合いももはやこれまで…

イン・ザ・ベッドルーム

いとも簡単に『殺す』に至る。若者だけではなく年輩者にも…である。この熟年夫婦の妻が「殺した?」とサラリ聞くあたりから、前半と異なった妙な空気が漂い始める。そしてラストは限りなく……きな臭い。すっかり善悪の感覚が崩壊し、一線を超えた彼らはどこへ…

父親たちの星条旗

“硫黄島からの手紙”と対、アメリカ側から見た硫黄島合戦物語である。 しかしこちらは戦闘そのものが主ではない。一枚の写真の事実を歪曲させ戦争宣伝にうまく利用する話である。凄惨な戦場に散った兵士達はあっさり切り捨て、写真に写る兵士を英雄に仕立てプ…

プラダを着た悪魔

スピード命と先頭死守の爆裂ファッション誌業界のドッタンバッタンがスイスイ展開。終わってみればそのミント系スッキリ感が実に爽快。アン・ハサウェイのでかい口と目、ライトで甘いキャラはもはやジュリア・ロバーツ後継者筆頭の貫禄。今後ラブコメでも十…

麦の穂をゆらす風

キリアン・マーフィの澄んだ瞳が美しい。IRA以前、アイルランドの人達が長い間イギリス政府によって頭を押さえつけられてきた結果、ついには圧政に対する抵抗がゲリラを生み、同じ民族間の対立にまで発展する様が描かれている。暴力は決して鎮圧の手段に…

スパイダーマン3

前作よりさらに甘い。特に前半は砂糖過多。そして。ニュー・ゴブリン→サンドマン→ヴェノム……ら兵隊が次々おもちゃ箱からジャンジャカシンバル叩きながら登場。ラストに至ってはいつもの特大大盛定番デザート。そのオチってどーよ? たいしておいしくない料理…

ぼくは怖くない

少年ミケーレがたったひとりで決断した大いなる勇気と正義の物語である。子供達の過剰装飾演技は一切なし。シンプルだが味わいは豊か。 どこまでも続く青い空と雲。そして昼は黄金色に波立ち、夜になれば真っ黒な闇に覆われる広大な麦畑。まずそこに広がるな…

隣のリッチマン

ジャック・ブラック&ベン・ステイラー!!ダブルで大好きなんで手に取ったんだけど、よく見たらコレ『レインマン』『バンディッツ』のバリー・レヴィンソン監督じゃ―ん。 前からイイヤツ。金持ちになってもまったく変わらずイイヤツのジャック・ブラックと、…

ナチョ・リブレ

『バス男』のジャレッド・ヘス第二弾。相変わらずヘンな顔の集団による間延びしただらけムービーであるが、今回ジャック・ブラックがポンと放り込まれたおかげで相当締まった。ヘス初心者はコチラの入口から入るとよいかも。あのビヨ~~~ンと伸びきったダ…

メリンダとメリンダ

メリンダ登場!から悲劇と喜劇の二つの恋物語が同時進行。あなたはどちらがお好みか?と聞かれたなら。多数は悲恋バージョンを選択するかも?喜劇はわりと平凡定番。かつてウッディ・アレン本人がペラペラしゃべりまくってハッピーエンドに押し倒したパター…

ニコラス・ケイジのウェザーマン

「人生のほとんどはクソ!(失礼)」→「クソ(失礼)な部分は捨てろ!」誠にナイスなお話!!この手の役はお手の物のニコラス・ケイジ様。 彼はますます…語らず演技する俳優に進化している。うますぎ。でもこれ以上だとやりすぎ。だからもっと役を選りすぐっ…

24 シーズン5

今回ほど!2度借り及び延長に延長を重ね、見終えるのに困難を極めたことはない。エミー賞なのでハズせない…とムリをしたのがいけなかった。それでもなんとか見終えた。 前半は確かにおもしろかったが、真夜中を過ぎたあたりからパターンが透けてきて興ざめ。…

カポーティ

とにかく!フィリップ・シーモア・ホフマンがすばらしい!のひとこと。ますますこの人に憑かれる。ゲイのしぐさ。作家の卑しい匂い。金属音的な声。嘘つき。姑息でえげつない。 しかし時折そんな自分を恥じる弱さをちらと滲ませたりもする。“IN COLD BLOOD”…

クリスマス・プレゼント … ジェフリー・ディーヴァ

ディーヴァ初の短編集。これが評判通りなかなか。この人のおもしろさは“いい人”とか“やさしい人”を存分に見せつけてから、思いっきりグリっと裏返すいぢわるな瞬間にあります。どれも質が高いのですが、やはりライム出演の『クリスマスプレゼント』が光りま…

グリーティングのデザイン

以前手に入れた『箱のデザイン』の流れの先に作られたのがコレ。『グリーティングのデザイン』である。今回も眺めているだけでしあわせな気持ちになれる。こんな発想は到底できぬが、紙質を厳選し画を貼り付けて是非作ってみたい。最大のポイントは“カッター…

キンキーブーツ

『フルモンティ』や『カレンダー・ガールズ』を見ていなければ、心ほのかに温まる軽めのコメディとしてそれなりに楽しめたかも。 残念ながらそのパターンでその調子であった。さらに出だし『実話に基づいた』は反則技です。 しかし。ドラッグクイーン系は私…

Life In Cartoon Motion…MIKA

今年最初に手に入れたCD…「オメデトウゴザイマぁス!!一等ハワイ旅行です!」的大当たり。まちがいなくチョーゴキゲンな気分になれマ―ス。モチロン車内で聞けばテンションあがりっぱ!!初期のフレディにチョイ似なトロリ裏返る声がたまりませんな。 ジャ…

マッチポイント

すっかり憑き物が落ちたウッディ・アレン。インテリで洗練されたダイアン・キートンと別れ、キュートな都会っこミア・ファローと暮らし始めたもの、彼女の養子と恋に落ち、散々な修羅場をくぐり抜けた後々の作品は身につけていた装飾品をひとつひとつハズし…

死の開幕 … ジェフリー・ディーヴァー

書店にバラバラ並びだしたディーヴァーの本をとりあえず2冊買い込んだ。 まず初期作ルーン・シリーズ。当然ながら…。ライム・シリーズの足下にも及ばない。この無鉄砲なお嬢さんはかなりいただけない。歳の離れた恋人刑事も印象が薄い。ポルノ業界の件もイ…

カサノバ

フェリーニのドナルド・サザーランド演じる重厚なカサノバとはまさに対極。羽毛のように軽やかでとにかく「あっまぁ~~~~~い!」ヒース・レジャー。まあ…それはそれ。これはこれ。ラッセ・ハルストレムの作品はいつも『風』のイメージがつきまとう。“ギ…

レディ・イン・ザ・ウォーター

殿はご乱心…?!「お~~~いぃぃ‥どこまでやるんだぁ~~~!!」と叫べど。あまりにも遠くにイッっちゃってるんで、おそらく誰の声も聞こえない。と思われる。ますます『??????』…の色合い深まるナイト・シャマラン!!この悲惨な過去を持つお茶目な…

スーパーマン・リターンズ

ブライアン・シンガーがX-MEN3を蹴って撮りあげた映画である。 故クリストファー・リーヴ夫妻への念が随所にあふれる丁寧丁重な作り。 本当に彼は体が動かなくなってからもスーパーマンのように愛と正義に満ちた生活を送っていたのだ。そして彼に最後まで…

トリック劇場版2

子供と一緒にダラダラ寝っ転がって見る。たいしたトリックはなくコミックであった。なぞときは陳腐でその瞬間瞬間のギャグのみに力を注いだマンガの実写版みたいってこと。仲間由紀恵と阿部寛のコンビはいい味出してるけど、映画にしなくていいです。せいぜ…

X-MEN ファイナル

毎度感じるのは、ウルバリンの影がやたら薄いということ。毛むくじゃらのくせに体の線が細すぎるのだ。せめてもう1サイズマッチョであったら。 しかも戦術が地味な肉弾戦に限られるため、どうしても脇のミュータントの華やかな能力に比べ見劣りしてしまう。…

マイアミ・バイス

マイアミ・バイスと言えば…のドンドコドンのヤン・ハマー!! そして。メロメロせつなサックスで“YOU~ BELONG TO THE CITY~”を朗々歌いあげる伊達男グレン・フライ。 ドン・ジョンソンの吹き替えがハマリすぎの隆大輔! とかとか。 …80年代TVシリーズがす…

硫黄島からの手紙

二宮クンがいい。演技はモチロン荒いのだけれど。すごくいい。ニューズウィーク日本語版の表紙だって渡辺謙ではなく二宮和也だ。栗林の完璧な聖人ぶりに加え、押さえすぎの静なる演技も過剰気味なもんで、ついこのどこにでもいそうな若者のほうにこそ!大いに…

エンプティー・チェア…ジェフリー・ディーヴァー

ボーン・コレクターのリンカーン・ライムシリーズである。この人のストーリー引力が強すぎて途中でやめられない。一気に読みたい。映画を見ているように頭の中で鮮明なイメージが次々に展開する。ただ今回のラストはちょ―っと甘過ぎ…かな。ひねりのないハッ…