天井桟敷

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新米刑事モース~オックスフォード事件簿 シーズン1

youtu.be

1960年代オックスフォードの空気、警察の体質、冒頭映し出される主要人物を頭に入れてなお最後まで事件のナゾが掴めない繊細と緻密。
モースはインテリで熱意溢れるが実直すぎてしばしば心折れ未熟な脆い側面を見せる。
そして実は彼を支え続ける上司サーズデイ警部が要。努力は認め暴走をキチンと叱責、人を育てる手本のような父性には心打たれる。
モースの心情にオペラを絡ませ上質な香り漂う質の高い作品である。

 

ブルックリン

www.foxmovies-jp.com

家族の絆、信仰、貞操、勤勉、真面目、
ほんの少し以前。アメリカにもそんな時代があったねと。
異常な事件事故殺人テロまみれの映画界に古き善き清涼剤一滴。
純粋に清々しくウエストサイドの時代へタイムスリップ。
単純な絵本昔話を見てるようでヒロインの心情がすんなり沁みる。
地元アイルランド(の男)かブルックリン(の男)か。最後の一手、土地柄が進むべき方向を明確に指し示す。

スニッファー シーズン2

スニッファー 嗅覚捜査官 (オリジナル版) SEASON 2 DVD BOX

シンジラレナイ、、、新鮮な驚きふたたび。
冒頭キターーー、ありがち、わけわからんちんナゾの組織(沈)
しかしイヤ~~~な暗雲は第3話あたりで露と散り。
最後はランボーか??くらいのドンパチまで一気に魅せる。
なにが?ってやはりシーズン1と違わぬ全力熱い製作意欲の伝播。そこが全ての源。
情熱の勢いが多少脇の甘さを愛嬌に変貌させる。
愛すべきふたり、個性的すぎる脇役、そしてウクライナの景色ふたたび。こと「港」。ここが近代的都市から少しだけ外れた港なのか??のギャップ。
どうにもウクライナ不思議ワールドが止まらない。

カジュアル・ベイカンシー


あっと驚く衝撃性もなく平坦の先にある結末の歯切れも悪い。にしてもJKローリングが力量ある作家に思え小説を読む気になりかけたが、あまりの評価真っ二つに尻込み。
よほど文章力がなければ(苦手なカズオ イシグロ同類説もあり)起伏のない些細な事件ばかり読み進めるのはかったるい気もする。
小さな田舎町に混雑する人種、貧困ドラッグ、家族友人の愛憎、正義と利権は絶えず小さな小競り合いを繰り返しドラマその先も果てることはない。
各々のキャラは個性的でありながら調和のとれた俳優陣と日常目線を崩さない姿勢は好感度が高い。

スニッファー シーズン1

http://mystery.co.jp/programs/the_sniffer
スニファー ウクライナの私立探偵
チョイとかじるつもりがひと呼吸で深みにハマり。
ウクライナそのもの、全く未知の衣食住文化言語、お国柄全てが新鮮、ガッチリ囚われ。
欧米ぽいポピューラーな顔立ちの主役以外のキャラがムチャクチャ濃い。所々差し込まれるキツそーーーな彫深美女軍団のセクシーショット、組織も呆れる女にだらしない相棒などいい具合の抜け感も持ち合わせ。
事件性も欧米に全く引けを取らず。1話完結だがそれぞれの事情が余韻を引っ張る。
才能と努力と情熱溢れる者は人種問わず万人を惹きつける。

温(nuku)・・・奥州市

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こがねパンとユニバースの間に住宅のような隠れ家のようなナゾの建物。
どうやらカフェとインテリアショップを兼ねてる風、営業はPM2時~夜に重点を置いてるぽい。
http://crosslab.seesaa.net/article/434254654.html
和み系グッズに囲まれた店内は狭く3~4組がせいぜい。
ネルドリップ珈琲がとっっても美味。おつまみの炒り豆も合う合う。
おひとり様でも。ワンコ同伴でも。

ヘイル、シーザー!

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http://hailcaesar.jp/
古き華やかハリウッドのオマージュとパロディの融合。終始クスクス時折大爆。
飛び抜けたユーモアセンスと絶妙の抜け感と軽快なテンポ全て満点。
ひとりハードボイルドのジョシュ、ウザさ満載暑苦しすぎるジョージクルーニー、エロかわスカヨハ、訛りキッついカウボーイ、そして燦然輝くチャニング(ずっと善き作品群の大波に乗っかってる)、それぞれが主役張る短編をうまい具合繋ぎ合わせたかの如し。
辛くも悪ノリぎりぎり踏みとどまる笑いのセンスこそ彼ら最大の魅力。
今までもこれからも。よろしくコーエン。

悪意の糸・・・マーガレット・ミラー

悪意の糸
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488247089
途中犯人はおおよそ割れるが、人物情景描写の巧みによりいよいよ結論など些細に思える。
不倫してる人間が善き人として描かれていたり、刑事が平気で職権乱用したり、その意外すぎる設定にやられる。
ここまで読むとなんとしても全作読み切りたいが、創元推理文庫の再版をひたすら偲び祈るのみである。

13 誘拐事件ファイル

サーティーン/13 誘拐事件ファイル [DVD]
誘拐され13年間監禁されていた少女が逃げ出す場面から始まる。
癒しと適応を模索する最中、同一犯による幼女誘拐事件が発生、おぞましい体験を執拗に探られ傷口を深くえぐられ露見する真実は痛ましく、身を挺し自らを差し出す覚悟は残酷で耐えがたい。
家族友人の苦悩と再生ドラマとしても周到で、細部の人物描写も見ごたえタップリ。
BBCは決して期待を裏切らない。

狙った獣・・・マーガレット・ミラー

狙った獣
どれを読んでも新鮮で刺激的。
形容詞の巧みと旋律のような流れ、とにかく文体に惹かれたまま最後まで淀まない。
出だしからぼんやり予想できるプロットだが、やはり結末より過程がずっと面白い。
中身は濃厚だがやはり量的八分目、食い足りなさを感じる。
今のところ途中も結末も眩暈だらけの「まるで天使のような」が最優秀。