ノンフィクションと勘違いするほどリアリティ滲むフィクションである。
邪悪な資質を持って生まれた子と、教養もキャリアもあり、洞察力に長け感受性豊かである自分を自慢とする母親との仁義なき戦いの物語である。
上巻中ほどまでうんざりするような御託が続き相当労力を強いられるが、その先突如ハラリと皮が剥がれ熟しすぎた果実が露呈してからは次第にその腐りかけ果肉の虜となる。
実のところ母子は似たもの同士であり、ひとりならここまでの惨劇は起こらなかったかもしれないし、むしろ親子として互いに常に意識しすぎる環境であったが故、反目は加速し互いの憎悪は異常に捻れ膨れ上がったようにも見える。
ついにぺっしゃんこ。そんなラストである。