天井桟敷

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マンダレイ

マンダレイ デラックス版

ラース・フォン・トリアーのアメリカ三部作No.2。
とにかく彼の作品は、気力体力共に万全な態勢で臨まなければ打ちのめされてしまう。

睡眠たっぷり。精神統一。お――し!こい!!
今回はアメリカの偽善とエゴな正義の押しつけに対する強烈なあてこすり。
ギャングの父(金と暴力の後ろ盾)を持つグレースの浅はかで世間知らずの正義感、全てを変えることができると過信し強引な行動に出る傲慢さが不快。

散々かき回して手に余るやスタコラ逃げる無責任。

ずっと従属し飼い慣らされた黒人(象徴として)の他力本願の卑屈さ。まさにアメリカと小国の縮図を見るかのよう。
前作同様舞台風だが、とにかくグレースの押せ押せ気迫一点集中でまったく気にならない。

全編に糸がピンピンに張られて弛みなし。
この監督ってさ。練習時でもいきなり急所狙ってくる人。

覚悟していても。あまりの真剣さにすっかり圧倒されエビ反り。参りました。
今回はアメリカを強く意識した配役。ウィレム・デフォーダニー・グローヴァー。スバラシイ。