天井桟敷

食。映画。音楽。本。旅。などなど。

書籍・雑誌

悪意の糸・・・マーガレット・ミラー

http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488247089途中犯人はおおよそ割れるが、人物情景描写の巧みによりいよいよ結論など些細に思える。不倫してる人間が善き人として描かれていたり、刑事が平気で職権乱用したり、その意外すぎる設定にやられる。ここまで読…

狙った獣・・・マーガレット・ミラー

どれを読んでも新鮮で刺激的。形容詞の巧みと旋律のような流れ、とにかく文体に惹かれたまま最後まで淀まない。出だしからぼんやり予想できるプロットだが、やはり結末より過程がずっと面白い。中身は濃厚だがやはり量的八分目、食い足りなさを感じる。今の…

ドライ・ボーンズ・・・トム・ボウマン

アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞なんだ?これが?審査員の趣味もあるだろうが自分はダメだ。亡き女房ラヴの湿気た身の上話と不器用で冴えない捜査の果てがこの犯人??で、この始末。たかが400ページ、読んでも読んでも終わらない地獄。新人賞は必ず選…

雪の墓標・・・マーガレット・ミラー

http://ronso.co.jp/book/%E9%9B%AA%E3%81%AE%E5%A2%93%E6%A8%99/今回も古さは微塵もないし女性から目線もない。しかし2作目でハッキリ気づいたこと。男の好みが完全リンク。アーティストに憧れる、と同。翻訳の素晴らしさもあり淀みなくスイスイ流れあっという間に読み切る量…

無実・・・ジョン・コラピント

なんの非もない善き人を貶めることに無上の喜びを感じる人物を描いて読者の不快を煽る新手の切り込み。ケッチャムとは全く毛色が違う。予想以上のメッチ打ちに吐き気催すほどムカつくが、一縷の望みにすがるあまり一気読みしてしまう結果ともなり。賛否評価分かれるも…

良心をもたない人たち・・・マーサ・スタウト

http://www.soshisha.com/book_search/detail/1_1929.htmlナルホドと思うところはあっても解説ばかり長すぎて読みにくかった。結論として対処法がないため多くの事例と詳しい顛末、加えて少しの補足があれば眠くにならずにすんだはず。良心のカケラもない(多少とか…

生と死にまつわるいくつかの現実 ・・・ ベリンダ・バウアー

英国モノは女性作家であれその鋭い視点とユーモア部位にハズレなし。11歳の少女の描写が瑞々しく、事件の顛末より家庭や周りの環境に深く心痛め、つたなくも純真でまっすぐな思考に心打たれる。後半はシャイニング様にもつれるが、最後は強い女性刑事、強い母、強い女性教…

殺人鬼ゾディアック ・・・ ゲーリー・L・スチュアート

で???いかにそれらしくはあっても決定打(DNA判定)がなければ単なるダークファンタジーの域に留まり結論はゼロに等しい。大半は自分を捨てた父と母の特異、愛情を注いでくれた養父母の歴史に割き、むしろこちらの方がよほどドラマ性高く数奇である。ゾディアックに関して…

骨と翅・・・サイモン・ベケット

退屈しないが猟奇にも法人類学にもさほど興味を持てず。盛りすぎ(死体含め)のクライマックス、マンネリすぎる犯人の意外性はゼロ。

〈5〉のゲーム ・・・ウルズラ ポツナンスキ

オリエンテーリングをGPS版に進化形させたようなジオキャッシングというゲームが軸だが、殺人と宝探しは相性よすぎる。散りばめられたアイテムのキラキラに気をとられどんどん読み進むが、その先待っていたのは期待裏切る定番中定番ラスト。全体に抑制が効いた安全路線で痛い描写に痛…

出口のない農場・・・サイモン・ベケット

イギリスの作家はしっくり感バツグンである。個性派刑事は登場せず、当事者目線で互いの忌まわしい隠し事が並行して暴かれる流れはかなり美味しい。まず刑事の個性ありき、とりまく環境の刷り込みがやたら水っぽく感じていたこの頃。ミステリー読み過ぎ深読みのハラハラを…

彼女のいない飛行機・・・ビュッシ・ミシェル

突如知らない人物が割って入る結末はガッカリだし、メロメロすぎる男女事情も甘ったるいフレンチミステリー。謎解きに期待したわけではないが読み急ぎたい気持ちにさせる文体ではある。

街の鍵・・・ルース・レンデル

殺人事件の謎解きより街にうごめく人の不可解に重きあり。上級お嬢様から下級ホームレスまで人間模様を描くが、語り口が上質なので下流の人物描写が薄い。人間味に深さはないが最後まで飽きずに読める。きれいにまとまって完結、とも言える。http://www.hayakawa-…

キャロル・・・パトリシア・ハイスミス

http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309464169/従来型ラブストーリー観を根底から覆す。若き女性が愛に躓き、自分と回りに厳しい分析と解析を繰り返し人間性を成熟させ愛を昇華させる物語。昔数冊読んだが、濃密な内容と裏腹、ドライ目線と飾らない文体がクールでとに…

凍える墓・・・ハンナ・ケント

http://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784087606997同性目線で、この文体はかなりカッコイイ。1829年アイスランド。実在した最後の女性死刑囚について。凍てつく気候、風の音、痩せた家畜と大地。火にくべられる糞また糞、窓に張られた魚の皮、気の利いたニューアイテムが情景の奥…

ガール・オン・ザ・トレイン

相当比較されているゴーン・ガールよりコチラの方が好感高し。アチラは視点が転換した後半冒頭の衝撃が最大のピーク、病的要素過多で少々やりすぎ感があった。コチラは実際あっておかしくない隣の芝生レベルだが中断したくない切迫度はずっと上。重要アイテ…

新車の中の女

調子に乗って新訳ふたたび、1966年ビンテージしかも少々苦手なフランスミステリー。コトが複雑すぎて途中怪奇やSFに転じる?不安に駆られる。結局終盤、犯人より動機、計画、犯行について長々解説を聞かされるハメになるが、このように全てを説明しなければ納得できない結末…

まるで天使のような・・・マーガレット・ミラー

驚いた。面白かった。すごく。発掘された名作。1962年作の新訳だが、古さは微塵もなく。展開も登場人物にもまったく臭みなし。探偵登録証を持つクインは序盤だらしないが、抜群のユーモアと人情と誠実と情愛を備えており、彼自身まっとうな軌道に向かう描写も率直で…

ミンコット荘に死す・・・レオ・ブルース

少年の助手が手伝ったり茶化しがあったり、毒殺描写はあるがストーリーに毒なし。 途中これは青少年向けミステリーなのか?疑うほど気取っている。 あまりにも英国的正統派とでも言えばいいのか、上品が書評高位に直結した、自分にとって望まない落とし穴的作品。

声・・・アーナルデュル・インドリダソン

なんとなく戻ってしまう北欧。アイスランド。殺人話を読んでいつか行ってみたい気持ちになるのも変な話だが、コレ真。憧れ。シンプルな人間関係に無理はなく。ものすごく洗練された感じもなくてすっと馴染む。家族や人間関係、社会の歪とか万国変わらないお…

デス・コレクターズ・・・ジャック・カーリィ

海辺に住む刑事は穏やかでカッコよさげ。文体もサラサラ乾いた手触り。殺人に絡む異常系人物はゾロゾロ出てくるが、むしろ良識抜け落ちた病的コレクターの狂気に気を取られる。ある意味、金を出せば集められる普通のコレクションに飽きた挙句の金持ち病とも言える。強烈なインパクト…

ありふれた祈り ・・・ ウィリアム・ケント・クルーガー

悲劇的な事故や事件が連鎖し、田舎町のありふれた人々に潜む小さな悪意や疑惑によってさらに不穏な圧迫感が増幅しどんどん悪い方に流されていく。全く資質が異なる少年兄弟はそれぞれ違う方法で打開を試みるが、終盤になって幼く危うかった弟の冷静で深い洞…

犯罪・・・フェルナンド・フォン・シーラッハ

情状酌量だったり思わず加害者側に肩入れしてしまったり情感に訴える実際の事件に基づいた犯罪集。実話と思えば1,2編はナルホド頷くところもあるが、単調な語り口は退屈に変わり、惰性となる。 猟奇フィクションの読み過ぎかもしれない(反省)。

漆黒の森・・・ペトラ・ブッシュ

ドイツ・ミステリーだが、とりたてドイツを連想させる背景も特色もなし。追い立てられるような展開はなく、ゆったり読める。悪くないが、ラスト「そうだったのか!」ポンと膝打つ驚きも響きもない。

ノア・P・シングルトンの告白・・・エリザベス・L・シルヴァー

死刑を待つ女囚の独白。家族、被害者とその母、ボーイフレンド、友人、関わった人物は皆脆弱で、なんとなく合流し大きな濁流となって死刑判決へなだれ落ちる。諦めと甘受の中、恩赦のかすかな救いを見つめ心揺らしながらも淀み続ける。真相と過去が相殺されたかに…

その女アレックス

2014年ミステリーベスト1らしいが。 ?ハテ?一体どこに称賛の値があるのか? そもそも初っ端の事件が消化不良のまま別事件に移行、接続部も弱ぎて釈然としない。 仮説と強調しながら刑事が全容を語るが、くどい解説は興ざめるばかり。 人物像はどれもぼやけ、猟奇っ…

ゴーン・ガール

映画の前に原作。 生粋ニューヨーカーの妻とミズーリ育ちの夫。 上巻。結婚生活が徐々にズレズレ~冷え冷えする過程と人物描写が巧みで、事件に発展するのも致し方なしという印象、どちらかといえば夫贔屓に描かれる。 ところが下巻は一転、出だしから妻の変質狂ぶりが急…

ヴァイオリン職人の探求と推理・・・ポール・アダムス

イギリス人作家によるオーソドックスなミステリー。 いたって上品。刺激はない。 ここにきてガツン系を切望している自分がチト怖い。

静かな水のなかで・・・ヴィヴェカ・ステン

ついまた北欧スウェーデンミステリー。 情景のどか、人情味たっぷり、猟奇抜き正統殺人、これぞ北欧デショー的緩さ。 ゆえ、動悸息切れとは無縁、ナゾ解きに新鮮味はなく、ミステリー初級感は否めない。 北欧ドラマがあれほど面白いのだから、もっとスゴイやつがあるにち…

凍氷 ・・・ ジェイムズ・トンプソン

極夜カーモスの続編、警部カリの事件簿。 顛末はソフトポルノだが、大戦時のフィンランドの暗部を軽く撫でることでふっくらした印象。 ただ妻ケイトの家族話は盛りすぎ。 複雑な伏線はなくラストも穏やかで前作同様飽きずに読みやすいが、食い足りなさは残る。