天井桟敷

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パワー・オブ・ザ・ドッグ

「パワー・オブ・ザ・ドッグ」 トーマス・サヴェージ[角川文庫(海外)] - KADOKAWA

映画の「?」は無事解氷したが、ほぼほぼ原作に忠実であり。

どこまでも鈍感で善良なジョージとローズ。

天才肌で溢れる能力と財力を隠しもせず力振りかざすフィルと、同じくIQは高いが内向性で感情薄いピーター。

ピーターが自分と同等の能力を持つことに気づいたフィルが感嘆し気を許すようになるが、まだ自分優位と見誤ってしまったことが最大のキモである。

ピーターの策略に気づきそれを受け入れたことは生きざまとして壮絶である。

4人のキャラは簡潔丁重に描かれ疑問の余地はなく、ドライな文体は好感度が高い。

1967年にそぐわない作品だったのか?ずっと埋もれていたことに驚く。

原作の凄みを知ると映画はやはり食い足りない。