映画より先の原作。
季節労働を渡り歩く車上生活をいかにもアメリカ的ノリで前向きに押し切ろうとする経済破綻した高齢者達のルポである。
一瞬解き放たれた究極の自由に見えなくもないが、～80歳（それ以上）の家を持たない方々（女性含む）がジプシーのように車で大陸を移動し肉体労働で日々の暮らしを支える現実を、自分の身に置き換えて想像することができない。
さらにアマゾンがノマドに広く募集をかける倉庫の仕事、伸びたりかがんだり1日24キロも館内を歩き回る過酷な労働（痛み止め等薬剤は無料配布）対価と大企業の莫大な利益格差を目の当たりにして、暗澹たる気持ちになる。
あれほど広大な大地でさえ車上生活者への当たりは強く、暑さ寒さ対策に加え病気や車のトラブル、風呂トイレゴミ処理に至るまでひとりあるいは同乗者と共に解決し乗り越えて進む生活は過酷を極める。
何万ものノマドが集うウッドストックばりの祭りごとで親交を深める交流が唯一の癒しだが、1年のほとんどはただ生き抜くため移動と労働を繰り返し、その先にあるエンディングを想像できない人生が恐ろしすぎて震える。
