天井桟敷

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キャロル・・・パトリシア・ハイスミス

キャロル
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309464169/
従来型ラブストーリー観を根底から覆す。
若き女性が愛に躓き、自分と回りに厳しい分析と解析を繰り返し人間性を成熟させ愛を昇華させる物語。
昔数冊読んだが、濃密な内容と裏腹、ドライ目線と飾らない文体がクールでとにかくカッコイイと感じ入ったことを思い出す。
1950年代に書かれたものと聞いて驚くが、同時に実体験なし完全フィクションで書かれたものではない気配を強く感じる。
中盤から終盤にかけての大きなうねりと穏やかな結末、それが感情論ではなく(無論盲目の愛でもなく)深い思慮の末導かれた結論であることに感銘を受ける。
非常に頭がよく冷静で思慮深い主人公は作者本人であり、苦痛や悲痛を吐露しつつ空想世界で自由恋愛を成就させたように思える。

来月公開http://carol-movie.com/
誰もがキャロルにケイトブランシェットを思い浮かべたことだろう。
ルーニーマーラーにも期待。