無論フィンチャーはキッチリ美しく作り込んではいたけれど、ギスギス感がない、とい
うかソフトに美化され空々しい。
荒削りだがスウェーデン版の方が殺伐とした原作の意図を捉えており、痛さが
ずっと際立っている。
ダニエル・クレイグは一瞬適役に見えたが、ミカエル・ニクヴィストにあった色気が皆
無。この色気が実に重要であるにもかかわらず。
ルーニー・マーラもしかり。キャラクターのうわべをつらつらなぞっているだけで深みが
ない。
歪んだ人間性や非道な残虐行為を深く抉らずショッキングは語れない。