マンデラの人と為りを描きつつラグビーワールドカップ南ア大会を見せることは、相当な困難を強いられる。
マンデラに絞っても2、3時間で語りきるのは至難であるのに、だ。
ギリギリここまでまとめあげたことに脱帽、感情を抑え淡々と描くことに徹する力量には感服す。
必要以上のドラマチック的盛り上がりを排除し、情熱を内に隠すやり方はまさにマンデラ的で、イーストウッド作品はますます大人的、とでもいうかさらに熟成したように見える。
ただ、キャプテンとしてマット・デイモンはどうか?という疑問は最後まで残る。
試合前夜に妻と寝てしまう、それが史実であるのかもしれないが、マンデラの心に触れ心底感銘を受けた、または開眼してチームを引っ張り上げる、素振りは見えない。
しかしながら実話の映画化として完成度は高い。