上からではなく、小さくて細かい視点である個々の食から世界が見えてくるルポ本である。
最初は軽い気持ち、と著者が述べる通り、ベトナム、ドイツの刑務所あたりフフと笑いを含む場面もある。
しかしコソボ、チェルノブイリ、ソマリア、と進むにつれ、それがおおよそ食事と呼べない様相を呈してくる。
紛争地域で、汚染区域で、葬り去られた大地で、生きるために食べる、という概念がグラついてくる。
誰にもどうすることもできない閉塞感と絶望感と無力感を味わうハメになる。
それでも読むべし。
従軍慰安婦問題も含めて中学、高校生にも是非。