2007年。ノーカントリーを押さえてカンヌ‐パルムドール受賞である。
1987年チャウシェスク独裁政権下のルーマニアが舞台。
ルーマニアの風景は大変興味深いが時代背景をつつくのはあまり意味がないように思う。
要は。
注意を怠り妊娠してしまったしょーもない自己中女子大生が、ルームメイトの義理人情使命感につけ込みちゃっかり利を得る話である。
ひとりは避妊にだらしなく堕胎も人任せ、事の深刻さを全く理解できずオロオロするばかりのオンナ。
片やエリート一家の息子と愛と格差に疑問を抱き世間に不満を募らせるが、ルームメイトのピンチに体を張る情深き熱血女史。
そんなふたりを克明にじっくり描ききっている。
尖って苛立つ若さとどうにもならないあがきが息苦しい。
ラストの倦怠感とあきらめの空気感が秀。