天井桟敷

食。映画。音楽。本。旅。そしてベタ。

血と暴力の国…コーマック・マッカーシー

コーエン兄弟最新作の原作であるが、なるほど納得のカッコよさ。
くだくだした説明を省いた簡素に加え、場所、人物の線引きなきスルーな文体、引用符抜きのセリフパンチがドライに効きまくる。

ひょんなことから汚い金を手に入れた男とその妻。そして殺し屋と警官。
後半は追跡劇を追い抜き人生観のみが浮き彫りになる。
普通の男が引き返せなくなった行き止まりの人生。
何の非もなくして運命を受け容れざるを得ない妻の人生。

殺し屋の曲がった信念を曲げない人生。
過去と非力と無力に喘ぐ警官の人生。

淡々と。残酷に。解決なく。時間が経過する
そんな物語。