天井桟敷

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ホテル・ルワンダ

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以前読んだルワンダ『ジェノサイドの丘』の映画化。かなり噛み砕いた表現で理解しやすい。

想像を絶する虐殺もソフトに描かれているし、国連の無力さ、欧米諸国の徹底した無視などもセリフによって淡々と語られる。裏を返せばかなり甘いのだが。

野蛮な方法によるツチ族狩りが加速度的に進む中、助けが来ることをひたすら信じる人達が、世界中の国から見捨てられたことを知る件には衝撃を受けるはず。

批判非難も十分織り込まれてはいるのだが気になった点もいくつか。まず欧米の無関心は「黒人だから」ではなく『魅力的な資源がない貧乏な国に金は使わない』ことによるものだ。さらに全く非力に見える国連及び平和維持軍(武器の使用が禁止されている)だが、実際には尽力を尽くしており、幾度も「武器使用を許可してもらえるなら2、3日で国内を沈静化できる。」と現地から訴え続けたにもかかわらず、徹底した介入拒否指示によって目の前で繰り広げられる虐殺を武器なしに止めることができなかったのである。

そしてラスト。確かに主人公含めごく一部の人達は無事国外脱出に成功したわけが、残された大多数の人々は今もなお近隣諸国を巻き込んで後遺症に苦しんでいる。
現代社会において。これほど野蛮なことが起こること自体信じられないのだが、どんな恐ろしいことが起こっていようと関係ないと無視される国が存在することを是非知ってほしい。

ポール役の眉尻下がりドン・チードル。最近いい人街道まっしぐらでちょっと定番すぎか。ソフィー・オコネドは落ち着きと知性を滲ませ好演。ニック・ノルティはなんだかミョーに老けこんでいて現地系はかなり無理っぽい。そしてホアキン!とジャン・レノ!…かなり浮きまくり。