まさに“グラムロック・サイケデリックのシチュー”筋道にはピンクとキラキラが敷き詰められ。キリアン・マーフィー演じる『オンナみたいなオトコ』という一言では括れないキトゥンは遠く凛と瞬く冥王星のよう。繊細でやさしく、蛇行しながらも自分を偽らず進む方向を手探る姿を軽いタッチで描いている。流れる『sugar baby love』のイメージ通りとにかくけなげでいじらしいの一言。
生い立ちから、アイルランド、ロンドン、IRA、テロをさらりと通過、母親探し、恋、信頼する友の姿を綴りながらあるべき自分の姿を見つめるお話。
後半、内容の詰めすぎでキツキツ2時間強になってしまったの惜しい。
途中「アレアレ??」…「!!!」なダンディ総長ブライアン・フェリー出現!!に一瞬ストーリーが吹っ飛んでしもた。思わずあなたが歌って!その歌声イメージ!方へ思考が脱線。
ニール・ジョーダンの初期作『クライング・ゲーム』のラストは衝撃かつ深刻であったが、こちらはすがすがしく透明な空気感と清涼感すら漂っている。
『ヘドウィク・アンド・アングリー・インチ』同様、疎外されてもなお前向きに進むしかないマイノリティの笑顔には切なさがたっぷり含まれている。