天井桟敷

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告白…チャールズ・R・ジェンキンス

北ウォッチャーのばあちゃんが購入。
日テレの北特集もよく見るし、本も何冊か読んでひどい暮らしであることは知っていたが、拉致被害者も例外ではないのだ。

思わずまじまじ眺めてしまう巻頭写真には、にじむ諦めと苦労の中にすこしばかりの幸せが垣間見えるが、その反動で一層深い同情をかき立てられるばかりである。
この本を読む限りではジェンキンス氏は常に冷静で、妻ひとみさんに対して厚い信頼と深い情愛を持ち(かの地ではお互いこそがこの世で信頼できる唯一のパートナーであるが)、子供達の動向、性格をも慎重に考慮したが故、人生最大の決断の局面を切り抜けることができたのだ。

この国ではたったひとつの失言も失態も命取りなのだ。

全ての被害者の解放なしに喜べない悲哀が滲む。

淡々と自由と自立の幸せをかみしめている。とだけ控えめに締めくくられている。