天井桟敷

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ジェノサイドの丘…フィリップ・ゴーレヴィッチ

ジェノサイドの丘〈上〉―ルワンダ虐殺の隠された真実

WAVE出版

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ホテル・ルワンダ』が上映されるのを知り、上巻を読んだ後放置していた下巻を読み始めた。密度が濃く中身はビッシリなので読み応えはあるが気力が充実していないと読む進むのがキビシイ。

ルワンダという国のフツ族による少数派ツチ族の虐殺。わずか3ヶ月間で国民800万中約1割にあたる80万人の人々を消し去った蛮行についてと、その間国際社会が徹底した無関心を装い介入を故意に避けた事に対する強烈な非難のルポルタージュである。

多数派を占めるフツ族が、ある日を境にツチ族を根絶するため殺戮を開始する。昨日まで仲良く暮らしていたツチ族隣人達を次々とマチェーテで殺害し略奪を重ねていったのである。当時NHKで特集を見たが、出だしとラストに『それはラジオ放送が始まりだった』というもったいぶった言葉に挟まれた本編は『殺戮があったらしい』以外、経過、核心が全く意味不な内容であった。実際にはラジオ放送は煽動の一手段に過ぎず、民族浄化作戦は組織的に粛々と進行し、人々は強要され、ある者は嬉々として殺戮を重ねていったのである。もちろん反対する穏健派フツ族は多数いたが(ホテル・ルワンダの支配人しかり)、それらの人々はツチ族同様ゴキブリ以下の烙印を押され一緒に殺害されたのである。

ここで国連他、国際社会が機敏に対応していたなら、犠牲は最小限にくい止められていたはずなのだが、信じられないことにこのなりゆきに対しては徹底的な傍観、つまり完全に無視されたのである。アメリカはボスニアにかかりきり、鉱物資源もなくまったく利益をもたらさない国への無償軍事介入をどこの国も嫌ったのである。それどころかフランスに至っては人道支援と書かれた箱に武器を詰め込みフツ政権に送り込んでいたのである。いよいよ誰も助けてくれないことを悟ったツチ族は当然反撃を開始するが、待っていましたとばかりに国際社会は、当初の恐るべき惨劇には目をつぶり『フツ族ツチ族の内戦』という認識にすり替えてしまう。

現在、ルワンダ政府は民族の融合を辛抱強く国民に訴えている。相変わらず戦闘の悲劇は続いているもの、ツチ族フツ族双方とも再び隣人として暮らすため多大な努力を重ね、徐々にではあるが成果をあげているらしい。

昨年、雑誌でコンゴ(ルワンダの隣国で、この紛争にも深く係わっている)内戦で生き残った犠牲者の写真を目にした。女子供、老人の体に傷をつけ損傷させるという印的蛮行が現在も続いていることに驚いた。ほとんどの人がそういうことを見たくない、知りたくないと思っている以上これらの悲劇に終わりは訪れない。それほど根は深く想像以上にアフリカの一部の国は後退し続けている。