天井桟敷

食。映画。音楽。本。旅。そしてベタ。

半身…サラ・ウォーターズ

『荊の城』と同様19世紀のロンドン。
上流階級の老嬢(この時代の負け犬)と女囚(霊媒師)の物語。
容姿や器量に自信はないが自分は賢い。強い自負を持つことで誇りを保つ貴婦人の姿が痛ましい。
自分はできる人間。それをわかってるのは亡くなった父だけ。自己主張もせず、頑なに枯れた道を歩む。そんな寂しさにつけ込むしたり顔の悪い奴が罠をしかける。
会社の金を着服しホストにつぎ込む女性や、学歴も職歴も金も分別も常識もあるのに、あっさり結婚詐欺にひっかかるこの手の女性は東も西も今も昔も変わらず存在するのだ。
ドライな登場人物。すっきりしない結末。後々まで尾を引く。