天井桟敷

食。映画。音楽。本。旅。などなど。

書籍・雑誌

美貌のひと。名画で読み解くイギリス王家12の物語。・・・中野京子

www.php.co.jp 長編を敬遠し読み易さ優先。 怖い絵ブームから遅れること1年。 短い解説でこれほど興味をそそられることも珍しく。逆に物足りなさともっと知りたい欲望渦まく。 絵画は見た瞬間の好き嫌いで構わない。とか。各々それぞれ感じ方が違っていい。…

ノクターナル・アニマルズ・・・オースティン・ライト

www.hayakawa-online.co.jp 元夫から送られてきた凄惨小説と並行し改めて過去現在の自分を分析することで悶々とドツボにハマッてしまう主婦の苦悩を綴る。ジェイクギレンホール映画の原作。 自己肯定が強くプライド高い人格に苛立ちを覚えるし、現実的すぎるラストもこの先ず…

IQ・・・ジョー・イデ

www.hayakawa-online.co.jp 久々の正統派ハードボイルド。 1本筋の通ったズバ抜け頭脳の若き黒人探偵が依頼人ラッパーを取り巻く権力利権抗争に対峙する。 彼が探偵業を営むことになった過去の経緯と現在をちまちま行き来する最近の手法は好みじゃないが、結果的に…

火星の人類学者・・・オリヴァー・サックス

www.hayakawa-online.co.jp 火の鳥未来編様の全色盲の画家やメメントなど多数の映画に描かれた直前記憶を留められない患者、感情に欠点はあるが、ズバ抜けた才能を持つ人物など驚くべき脳内不思議の数々が描かれる。 著者は映画レナードの朝の原作者で脳神経科医だ…

勝ち過ぎた監督 駒大苫小牧幻の三連覇 ・・・ 中村計

「勝ち過ぎた監督 駒大苫小牧 幻の三連覇」特設サイト| 集英社新書 今夏の高校野球は金足農業の快進撃とスター軍団大阪桐蔭のそつなく揺るぎない圧勝で大いに盛り上がった。 それ以前深く記憶に刻まれた試合筆頭はやはり駒大苫小牧vs早実戦だろう。 斎藤祐樹も…

漂流 ・・・ 吉村昭

www.shinchosha.co.jp イッキ読み。 難破漂流火山島漂着。 江戸時代の実録らしいが盛りすぎない脚色は臨場感満載である。 あまりの過酷に幸か不幸かの境界が薄れ、不屈や希望、人間の底力を見る。 改めて。 強い者だけが生き延びる。

壊れた脳 生存する知 ・・・ 山田規畝子

www.kadokawa.co.jp もやもや病を患い三度の脳出血で高次脳機能障害となった女性医師が語る不屈の精神力と壊れた脳の驚くべき回復の実体験談である。 同じ障害を持つ人の指標となるのは勿論、家族や医療従事者の理解と参考の書として大いに役立つ。 大変興味…

教誨師・・・堀川惠子

bookclub.kodansha.co.jp オウムの死刑執行もあり、死刑賛否も含め重い内容であった。 死刑囚の魂に寄り添いその瞬間にも立ち会う教誨師の勤めは殺人に加担するという側面も持ち、無力感に苛まれ人として押しつぶれて当然である。 浄土真宗「空」の教えは自由で…

道迷い遭難・・・羽根田治

www.kinokuniya.co.jp まあまあこの先山に登ることなどないとは思うが。 遭難に限らず人は焦ったり追い込まれると、常識消失、極限状態では冷静な状況判断叶わず、より楽に見えより安易な考えに支配されてしまうことに恐怖を覚える。 落胆と絶望の狭間で幻覚…

そしてミランダを殺す・・・ピーター・スワンソン

あとがきで著者がパトリシアハイスミスのファンと知れば「ああ」と思う。 途中2度3度大きく舵を切られて全く方向が読めず、次第に殺人者の心理寄りに傾いてしまうあたりはリプリーを連想させる。 とはいえドライでシンプルに心理の核心をむき出しにするあの鋭さには及ばず、プロット…

世界の中心までトンネルを掘る・・・ケヴィン・ウィルソン

群れることを嫌い、少しガードが固く、斜に構え、無口で暗い、それでいてとても繊細な人たちを綴った短編集。 情景は異質で唐突で不可思議だが、ごく狭い個人的な充足にとっぷり共感。 淡々と静かな展開だが心情は詳細で余韻深く、癒されるわけではないが読後…

許されざる者・・・レイフ・GW・ペーション

www.tsogen.co.jp 脳梗塞の後遺症が残る捜査官の推理劇と聞けばディーヴァーのリンカーンがチラつくが心配無用。 間断ない無用な煽りはなくむしろ時間は緩く、落ち着いてじっくり経緯に集中できる。 現役時代トップだった影響力を利用したり正攻でない手も使うが、育ちが…

冷たい家・・・JP. ディレイニー

www.hayakawa-online.co.jp 映画化が決まっているらしいが。 建築家はジェイミー・ドーナンにやってもらいたい。 ミステリーというより、 対照的なふたりの女性の心理劇である。 悲しみ苦しみに押しつぶされない女性の強さとしたたかさ、決して泣き寝入りなどしない反骨、…

オスロ警察殺人捜査課特別班・・・サムエル・ビョルク

オスロ警察殺人捜査課特別班 アイム・トラベリング・アローン | Discover21 北欧好きには堪らない。 ラスト付近で急にギアが上がりアレアレ?置いてけぼりを食らってしまう。 宗教その結末は性急すぎるし絡みも薄味、盛りすぎ否めず。 とはいえ最後まで楽しく読み進め…

ビンボー魂 おばあちゃんが遺してくれた生き抜く力・・・風間トオル

ビンボー魂|単行本|中央公論新社 半分くらいTVで聞いたエピソードだが、再度強烈に圧倒される。 貧乏が壮絶すぎて笑うしかないのだが、淡々とした語り口とそこから学んだ人生観が深い。 人間の底知れぬ野生力を見せつけられ飾らない風間トオルが好きになるし…

フロスト始末(上下)・・・R・D・ウィングフィールド

www.tsogen.co.jp 遺作である。 ケチな泥棒から凶悪犯を詰めるだけ詰め込み、フロストを全力ノンストップで動かし弾けさせたかった気持ちが見える。 事件自体は重く凄惨を極めるが、フロストの強烈なギャグ力によって重みを絶妙に軽減、マンガのように楽な気持ちで読み進められ…

羊飼いの暮らし・・・ジェイムズ・リーバンクス

そもそもイギリスで今だ羊飼いという職業が脈々受け継がれている事実に驚く。 著者は代々続く羊飼いの家に生まれ、学校より立派なファーマーになるべく家の手伝いに従事するが、本と出合ったことで学問に開眼、海軍に入隊し学費を貯めオックスフォード大へ進学。都会で猛勉…

ヒルビリー・エレジー ・・・ J・D・ヴァンス

ヒルビリー・エレジー J・D・ヴァンス、関根光宏/訳、山田文/訳 | ノンフィクション、学芸 | 光文社 映画ウィンターズ・ボーンで初めて知ったアメリカ白人貧困層ヒルビリー。 にわかに信じがたい実情であるが、この町を這いだしシリコンバレー投資会社社長まで上り詰めた人物の実…

悪意の糸・・・マーガレット・ミラー

http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488247089途中犯人はおおよそ割れるが、人物情景描写の巧みによりいよいよ結論など些細に思える。不倫してる人間が善き人として描かれていたり、刑事が平気で職権乱用したり、その意外すぎる設定にやられる。ここまで読…

狙った獣・・・マーガレット・ミラー

どれを読んでも新鮮で刺激的。形容詞の巧みと旋律のような流れ、とにかく文体に惹かれたまま最後まで淀まない。出だしからぼんやり予想できるプロットだが、やはり結末より過程がずっと面白い。中身は濃厚だがやはり量的八分目、食い足りなさを感じる。今の…

ドライ・ボーンズ・・・トム・ボウマン

アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞なんだ?これが?審査員の趣味もあるだろうが自分はダメだ。亡き女房ラヴの湿気た身の上話と不器用で冴えない捜査の果てがこの犯人??で、この始末。たかが400ページ、読んでも読んでも終わらない地獄。新人賞は必ず選…

雪の墓標・・・マーガレット・ミラー

http://ronso.co.jp/book/%E9%9B%AA%E3%81%AE%E5%A2%93%E6%A8%99/今回も古さは微塵もないし女性から目線もない。しかし2作目でハッキリ気づいたこと。男の好みが完全リンク。アーティストに憧れる、と同。翻訳の素晴らしさもあり淀みなくスイスイ流れあっという間に読み切る量…

無実・・・ジョン・コラピント

なんの非もない善き人を貶めることに無上の喜びを感じる人物を描いて読者の不快を煽る新手の切り込み。ケッチャムとは全く毛色が違う。予想以上のメッチ打ちに吐き気催すほどムカつくが、一縷の望みにすがるあまり一気読みしてしまう結果ともなり。賛否評価分かれるも…

良心をもたない人たち・・・マーサ・スタウト

http://www.soshisha.com/book_search/detail/1_1929.htmlナルホドと思うところはあっても解説ばかり長すぎて読みにくかった。結論として対処法がないため多くの事例と詳しい顛末、加えて少しの補足があれば眠くにならずにすんだはず。良心のカケラもない(多少とか…

生と死にまつわるいくつかの現実 ・・・ ベリンダ・バウアー

英国モノは女性作家であれその鋭い視点とユーモア部位にハズレなし。11歳の少女の描写が瑞々しく、事件の顛末より家庭や周りの環境に深く心痛め、つたなくも純真でまっすぐな思考に心打たれる。後半はシャイニング様にもつれるが、最後は強い女性刑事、強い母、強い女性教…

殺人鬼ゾディアック ・・・ ゲーリー・L・スチュアート

で???いかにそれらしくはあっても決定打(DNA判定)がなければ単なるダークファンタジーの域に留まり結論はゼロに等しい。大半は自分を捨てた父と母の特異、愛情を注いでくれた養父母の歴史に割き、むしろこちらの方がよほどドラマ性高く数奇である。ゾディアックに関して…

骨と翅・・・サイモン・ベケット

退屈しないが猟奇にも法人類学にもさほど興味を持てず。盛りすぎ(死体含め)のクライマックス、マンネリすぎる犯人の意外性はゼロ。

〈5〉のゲーム ・・・ウルズラ ポツナンスキ

オリエンテーリングをGPS版に進化形させたようなジオキャッシングというゲームが軸だが、殺人と宝探しは相性よすぎる。散りばめられたアイテムのキラキラに気をとられどんどん読み進むが、その先待っていたのは期待裏切る定番中定番ラスト。全体に抑制が効いた安全路線で痛い描写に痛…

出口のない農場・・・サイモン・ベケット

イギリスの作家はしっくり感バツグンである。個性派刑事は登場せず、当事者目線で互いの忌まわしい隠し事が並行して暴かれる流れはかなり美味しい。まず刑事の個性ありき、とりまく環境の刷り込みがやたら水っぽく感じていたこの頃。ミステリー読み過ぎ深読みのハラハラを…

彼女のいない飛行機・・・ビュッシ・ミシェル

突如知らない人物が割って入る結末はガッカリだし、メロメロすぎる男女事情も甘ったるいフレンチミステリー。謎解きに期待したわけではないが読み急ぎたい気持ちにさせる文体ではある。