天井桟敷

食。映画。音楽。本。旅。などなど。

書籍・雑誌

メインテーマは殺人・・・アンソニー・ホロヴィッツ

www.tsogen.co.jp 作者が主役本人として事件に絡む異色の展開。 スピルバーグやピータージャクソン、残念な扱いのダミアンルイス!などなど実在の人物もチョロチョロ参戦するためソワソワ落ち着かない気持ちになる。 これを面白いとみるか茶化し過ぎととるか。 度々意識が大筋から逸れ…

掃除婦のための手引書・・・ルシア・ベルリン

allreviews.jp 贅肉は一片もなくどれもカッコいい。 フィクションの境は曖昧だが、肉体的苦境にあっても精神は屈しない強靭さと、どうってことない体を装うドライさが超クール。 虐待や痛みや乾いた屈辱を簡潔にポンポン放り投げどんどん前進する様が潔い。

マンソン・ファミリー悪魔に捧げたわたしの22ヶ月・・・ダイアン・レイク

www.harpercollins.co.jp マンソンファミリー、シャロンテート事件についてあらすじ以上の知識はなかったが、この14歳にしてファミリーの一員となった少女の体験は痛々しすぎて下手なサイコ小説より空恐ろしかった。 ファミリーに属した約2年の間に一生分の…

隠された悲鳴・・・ユニティ・ダウ

eijipress.ocnk.net アフリカ、ボツワナのサスペンス。 今だ一部で祈祷師や魔女狩りがはびこるボツワナで、汚れない少女の体を切り取り自分たちの繁栄を願う儀礼殺人という恐ろしい風習が続いていること、正義に燃える優秀な若き女性達が台頭していること、このふたつを軸…

死者の国・・・ジャン=クリストフ・グランジェ

www.hayakawa-online.co.jp 前半はこれでもかと盛りまくる性倒錯者のオンパレード。 そっちネタ半分、質半減、という印象。 ひたすら衝撃を与え続けて引っ張る手法がいただけない。 さらに全ての顛末を朗々聞かされるラストは実に面倒くさい。 そちら系にも十分長けた…

三つ編み・・・レティシア・コロンバニ

www.hayakawa-online.co.jp イタリア、毛髪加工工場を任された若い娘の身を焦がす恋と工場再建の奮闘。 インド、カースト外不可触民(触られても見られてもいけない)女性の差別からの脱出劇。 カナダ、並々ならぬ努力で地位を築いた女性弁護士の病とエリート争いの戦い。 3地…

皮膚の下の頭蓋骨・・・P・D・ジェイムズ

www.hayakawa-online.co.jp アガサクリスティー風の上品さを奏でる良質ミステリー。 表現力が豊かで久々肌に合う感覚を味わった。 女性探偵として未熟であることを自覚しつつ最大の誠意をもって事件に対峙する凛とした佇まいが魅力。 事は思い描くような明快解決とはいか…

沈黙の少女・・・ゾラン・ドヴェンカー

沈黙の少女 |書籍詳細|扶桑社 北欧同様ドイツにも小児性愛者がウヨウヨしているのか?風出だし、さすがに誰もが食傷気味ゆえ後半捻りが入る。 著者はSFなども手掛けているそうで、なるほど少々ファンタジーぽい。 刑事や探偵の活躍もなく現実離れしているため最後はポカン…

小さな国で・・・ガエル・ファイユ

www.hayakawa-online.co.jp アフリカ、ブルンジの内戦を潜り抜けフランスへ移住したラッパーの自伝、かと思いきや半分はフィクションらしい。 とはいえ内戦前の美しいブルンジで子供が子供らしく過ごした煌めく描写はあまりに瑞々しく、その後の混乱で全ての幸せが断ち切られた地…

アイル・ビー・ゴーン・・・エイドリアン・マッキンティ

www.hayakawa-online.co.jp フロストに類似しているが密度は分でかなりライト。脇も相当甘いかな。 フロストに心酔してる者には全然食い足りない。

無痛の子・・・リサ・ガードナー

www.shogakukan.co.jp サイコパスの血は遺伝なのか?その育つ過程で引き継がれたものなのか? 親子の犯罪連鎖に少々疑問は残るが、ドキドキハラハラもするし事態は淀みなくトントン進行する。 ミレニアムに登場した先天性無痛症の用心棒はモンスターとして描かれたが、実際には日々注…

美貌のひと。名画で読み解くイギリス王家12の物語。・・・中野京子

www.php.co.jp 長編を敬遠し読み易さ優先。 怖い絵ブームから遅れること1年。 短い解説でこれほど興味をそそられることも珍しく。逆に物足りなさともっと知りたい欲望渦まく。 絵画は見た瞬間の好き嫌いで構わない。とか。各々それぞれ感じ方が違っていい。…

ノクターナル・アニマルズ・・・オースティン・ライト

www.hayakawa-online.co.jp 元夫から送られてきた凄惨小説と並行し改めて過去現在の自分を分析することで悶々とドツボにハマッてしまう主婦の苦悩を綴る。ジェイクギレンホール映画の原作。 自己肯定が強くプライド高い人格に苛立ちを覚えるし、現実的すぎるラストもこの先ず…

IQ・・・ジョー・イデ

www.hayakawa-online.co.jp 久々の正統派ハードボイルド。 1本筋の通ったズバ抜け頭脳の若き黒人探偵が依頼人ラッパーを取り巻く権力利権抗争に対峙する。 彼が探偵業を営むことになった過去の経緯と現在をちまちま行き来する最近の手法は好みじゃないが、結果的に…

火星の人類学者・・・オリヴァー・サックス

www.hayakawa-online.co.jp 火の鳥未来編様の全色盲の画家やメメントなど多数の映画に描かれた直前記憶を留められない患者、感情に欠点はあるが、ズバ抜けた才能を持つ人物など驚くべき脳内不思議の数々が描かれる。 著者は映画レナードの朝の原作者で脳神経科医だ…

勝ち過ぎた監督 駒大苫小牧幻の三連覇 ・・・ 中村計

「勝ち過ぎた監督 駒大苫小牧 幻の三連覇」特設サイト| 集英社新書 今夏の高校野球は金足農業の快進撃とスター軍団大阪桐蔭のそつなく揺るぎない圧勝で大いに盛り上がった。 それ以前深く記憶に刻まれた試合筆頭はやはり駒大苫小牧vs早実戦だろう。 斎藤祐樹も…

漂流 ・・・ 吉村昭

www.shinchosha.co.jp イッキ読み。 難破漂流火山島漂着。 江戸時代の実録らしいが盛りすぎない脚色は臨場感満載である。 あまりの過酷に幸か不幸かの境界が薄れ、不屈や希望、人間の底力を見る。 改めて。 強い者だけが生き延びる。

壊れた脳 生存する知 ・・・ 山田規畝子

www.kadokawa.co.jp もやもや病を患い三度の脳出血で高次脳機能障害となった女性医師が語る不屈の精神力と壊れた脳の驚くべき回復の実体験談である。 同じ障害を持つ人の指標となるのは勿論、家族や医療従事者の理解と参考の書として大いに役立つ。 大変興味…

教誨師・・・堀川惠子

bookclub.kodansha.co.jp オウムの死刑執行もあり、死刑賛否も含め重い内容であった。 死刑囚の魂に寄り添いその瞬間にも立ち会う教誨師の勤めは殺人に加担するという側面も持ち、無力感に苛まれ人として押しつぶれて当然である。 浄土真宗「空」の教えは自由で…

道迷い遭難・・・羽根田治

www.kinokuniya.co.jp まあまあこの先山に登ることなどないとは思うが。 遭難に限らず人は焦ったり追い込まれると、常識消失、極限状態では冷静な状況判断叶わず、より楽に見えより安易な考えに支配されてしまうことに恐怖を覚える。 落胆と絶望の狭間で幻覚…

そしてミランダを殺す・・・ピーター・スワンソン

あとがきで著者がパトリシアハイスミスのファンと知れば「ああ」と思う。 途中2度3度大きく舵を切られて全く方向が読めず、次第に殺人者の心理寄りに傾いてしまうあたりはリプリーを連想させる。 とはいえドライでシンプルに心理の核心をむき出しにするあの鋭さには及ばず、プロット…

世界の中心までトンネルを掘る・・・ケヴィン・ウィルソン

群れることを嫌い、少しガードが固く、斜に構え、無口で暗い、それでいてとても繊細な人たちを綴った短編集。 情景は異質で唐突で不可思議だが、ごく狭い個人的な充足にとっぷり共感。 淡々と静かな展開だが心情は詳細で余韻深く、癒されるわけではないが読後…

許されざる者・・・レイフ・GW・ペーション

www.tsogen.co.jp 脳梗塞の後遺症が残る捜査官の推理劇と聞けばディーヴァーのリンカーンがチラつくが心配無用。 間断ない無用な煽りはなくむしろ時間は緩く、落ち着いてじっくり経緯に集中できる。 現役時代トップだった影響力を利用したり正攻でない手も使うが、育ちが…

冷たい家・・・JP. ディレイニー

www.hayakawa-online.co.jp 映画化が決まっているらしいが。 建築家はジェイミー・ドーナンにやってもらいたい。 ミステリーというより、 対照的なふたりの女性の心理劇である。 悲しみ苦しみに押しつぶされない女性の強さとしたたかさ、決して泣き寝入りなどしない反骨、…

オスロ警察殺人捜査課特別班・・・サムエル・ビョルク

オスロ警察殺人捜査課特別班 アイム・トラベリング・アローン | Discover21 北欧好きには堪らない。 ラスト付近で急にギアが上がりアレアレ?置いてけぼりを食らってしまう。 宗教その結末は性急すぎるし絡みも薄味、盛りすぎ否めず。 とはいえ最後まで楽しく読み進め…

ビンボー魂 おばあちゃんが遺してくれた生き抜く力・・・風間トオル

ビンボー魂|単行本|中央公論新社 半分くらいTVで聞いたエピソードだが、再度強烈に圧倒される。 貧乏が壮絶すぎて笑うしかないのだが、淡々とした語り口とそこから学んだ人生観が深い。 人間の底知れぬ野生力を見せつけられ飾らない風間トオルが好きになるし…

フロスト始末(上下)・・・R・D・ウィングフィールド

www.tsogen.co.jp 遺作である。 ケチな泥棒から凶悪犯を詰めるだけ詰め込み、フロストを全力ノンストップで動かし弾けさせたかった気持ちが見える。 事件自体は重く凄惨を極めるが、フロストの強烈なギャグ力によって重みを絶妙に軽減、マンガのように楽な気持ちで読み進められ…

羊飼いの暮らし・・・ジェイムズ・リーバンクス

そもそもイギリスで今だ羊飼いという職業が脈々受け継がれている事実に驚く。 著者は代々続く羊飼いの家に生まれ、学校より立派なファーマーになるべく家の手伝いに従事するが、本と出合ったことで学問に開眼、海軍に入隊し学費を貯めオックスフォード大へ進学。都会で猛勉…

ヒルビリー・エレジー ・・・ J・D・ヴァンス

ヒルビリー・エレジー J・D・ヴァンス、関根光宏/訳、山田文/訳 | ノンフィクション、学芸 | 光文社 映画ウィンターズ・ボーンで初めて知ったアメリカ白人貧困層ヒルビリー。 にわかに信じがたい実情であるが、この町を這いだしシリコンバレー投資会社社長まで上り詰めた人物の実…

悪意の糸・・・マーガレット・ミラー

http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488247089途中犯人はおおよそ割れるが、人物情景描写の巧みによりいよいよ結論など些細に思える。不倫してる人間が善き人として描かれていたり、刑事が平気で職権乱用したり、その意外すぎる設定にやられる。ここまで読…